尾鷲市は21日、市防災センター会議室で2回目の尾鷲甘夏ブランド化推進ワークショップを開いた。生産農家と販売、飲食、デザイン、観光などの分野の参加者が2班に分かれて、尾鷲甘夏をPRする基本理念やキャッチコピーを考えた。
経済産業省中部経産局の専門家派遣を受けて昨年末から取り組んでいる。リーフレット製作を念頭に、1回目の会合で話し合った尾鷲甘夏の魅力などを踏まえ、意見をまとめた。
意見交換を前に、コピーライターなどを務める加藤了平さんが、ブランド化についての考え方などについて説明した。
加藤さんは、ブランドは、それぞれの人が想像するイメージの蓄積と説明。ロゴマーク、ウェブサイト、テレビなどのCM、採用活動など、さまざまな接点での体験・情報がまとまってその人のブランドイメージとなることから「場当たり的なイメージの発信はブランド醸成にとって逆効果」と述べた。
ブランド化の根本は、他のものとの差別化であると指摘。ビールを例に「現在はモノがあふれた成熟社会。『おいしい』だけでは差別化にならない」と語り、重視される事項が「モノ(商品)からコト(経験)へ変わっている」とも話した。
具体的には、商品の価格や品質・機能だけでなく、商品の先にある感情や体験までを差別化の要素として考えることが大切と述べ、「まだ顕在化していない欲望やニーズを見つけ、提示することが深い共感につながっていく。消費者の隠れた欲求を見つけることが重要となっている」と解説した。
ブランド化を進める手法についていくつか紹介を受けた後、参加者らは2つの班で話し合いをしながら、コンセプト(基本理念)をまとめた。
A班は、海の近くで栽培されている特徴から「向こうに海がある尾鷲甘夏」「潮風の中にある尾鷲甘夏」とまとめた。B班からは、他産地では他の品種の栽培に切り替わっていることなどを踏まえ「昭和のミカン」や、あえて否定的な言葉で印象付けようと「時代遅れのミカン」などのキーワードを出していた。キャッチコピーとして「甘味、酸味、それって人生やり」という言葉の提案もあった。
2月にはより具体的に、リーフレットに盛り込むべき内容を検討する。市水産農林課の田部井智也主査は、リーフレット作成は別事業になるとした上で、「(成果を踏まえ)甘夏収穫ワーケーションの時期に合わせてチラシを作ることができれば」と話していた。