医師不在のため閉院していた紀北町上里の上里診療所が新しい医師を迎え、16日(月)から約8か月ぶりに診療を再開する。着任したのは尾鷲市三木里町で開業する橋爪眞言(まこと)医師(78)。両診療所を兼務するため、午後の半日診療となる。
上里診療所は土地、建物とも上里自治会の所有。平成17年4月から地域医療を担ってきた前任の林丘(たかし)医師が今年4月末で診療を終了、6月末で閉院していた。
後任の橋爪医師は名古屋大学医学部卒業。平成16年8月に出身地の三木里町に「はしづめクリニック」を開業して20年になる。介護施設のサービス付き高齢者向け住宅も経営して地域の医療を支えている。
昨年秋、林医師から廃業したいとの申し入れがあり、上里自治会では行政や医師会への相談をはじめ、県医師会の広報誌や地元紙に広告を掲載するなどして医師探しに奔走。県内外から数件の問い合わせがあったが、いずれも可能な診療日が少なく折り合いがつかなかった。
医師確保をあきらめかけていたところへ手を挙げてくれたのが橋爪医師。新しい医師が見つからない状況を前々から知っていた橋爪医師は、人口減少で三木里の診療に余裕ができてきたことから「半日でもよければ」と話を持ちかけ、週4日の診療を条件に再開に向けて7月から話を進めてきた。
診療科目は内科と脳神経内科。看護師、事務員と3人体制でスタートする。診察は休診の木曜日を除き、平日4日間の午後3時~6時30分と土曜日の午前9時~正午。
橋爪医師は「最初のとっかかり(診察)をきちんとやって、病院に紹介して対応してもらうことを心掛けたい。かかりつけ医として主に生活習慣病を診ることになるが、脳卒中や心筋梗塞などの急病にもしっかり対応する病診連携に心掛けたい」と抱負を語る。
上里自治会の大和亨二会長は「(医師が見つからず)これで終わりかなあと思った時に声を掛けてもらい、本当に喜んでいる。診療所があるのとないのでは地域住民の安心感が全然違う。本当にありがたい」と喜んでいる。