尾鷲市制70周年記念式典が6月30日、市民文化会館せぎやまホールで開かれた。来賓、表彰受賞者と見学の市民ら多数が参列し、これまでの出来事を振り返り、今後の勇躍発展を願った。
尾鷲市は昭和29(1954)年6月20日、北牟婁郡の尾鷲町、須賀利村、九鬼村と南牟婁郡の北輪内村、南輪内村が合併して誕生。林業や水産業、電力業などを基幹産業に発展。一時は人口3万4000人を数えたが、少子高齢化、人口減少で長らく低迷している。
加藤千速市長は式辞で「厳しい状況の中、歴史を振り返り先人たちの足跡を追いつつも後戻りはできない。過去のノスタルジーにひたってはいられない。本市が抱える重要課題を、現状を乗り越え、一歩でも前に進んでいかなければならない」と力を込め、第7次総合計画の将来像である「住みたいまち住み続けたいまちの実現に向けた5本柱に言及し、「目標を実現するため少しずつ政策を進めており、少しは芽が出ている」とした上で、「よりスピード感をもってアグレッシブに行動していく」と述べ、理解と協力を呼び掛けた。
また、「自然という財産を未来を担う若者たちに引き継ぐことを責務と考え、22世紀に向けたサスティナブルシティの実現に向け、尾鷲市ゼロカーボンシティを宣言し、市内外のパートナーである企業・団体の皆さんとスクラムを組んで取り組んでいる」と説明したほか、有機産地づくりでは「既存の農作物の付加価値を高めるオーガニックビレッジを宣言し、日本農業遺産である、尾鷲ヒノキや200種以上に及ぶ尾鷲の魚といった従来の尾鷲の強みに加え、新たな価値を生み出す戦略をスタートさせた」と力を込め、市の取り組みに関心を持つ個人や企業団体とのきずなを深め、関係人口の創出を目指していると語り、「本市を持続可能な次の未来へつなげていくため、不屈の精神で取り組む」と述べた。
南靖久市議会議長は「紆余曲折の中、先輩たちの勇躍発展の思いは社会動向に抗しきれなかったと言わざるを得ない。(私自身も)激動の社会情勢を肌で感じることが多々あった。予想以上の人口減少、過疎化という高波に大きな衝撃を受けている」と述べた上で「決して明るい未来が約束されているものではないが、代々伝わってきた尾鷲の風土、文化、伝統、魅力を生かしながら、特色ある地域とすべく、今後も努力を惜しむことなく進めていきたい」と語った。
県内選出の国会議員、県内各市町長、遠くは「災害時における相互応援及び防災に関する相互協力に関する協定」を締結している岩手県釜石市からの出席もあった。
来賓のうち鈴木英敬衆議院議員は、防災・減災の取り組みと、新しいビジョンをしっかり描いた施策が必要と述べ、「ヤーヤわれこそはという気持ちでまちづくりに関わり、いいまちにしてほしい」と語った。一見勝之県知事は「独自性を出し、帰ってきたい、ここに住みたいというまちでないといけない。歴史・文化を踏まえ、未来の尾鷲を展望しなければならない。どういった産業を伸ばしていくのか、県も一緒になって考えたい」と述べ、発展に期待を寄せた。
式典は、伝統の尾鷲節の太鼓や踊りで幕開け。最後は、長さ1メートルほどの巨大クラッカーを鳴らして締めくくった。また、午後には大阪シオン・ウインド・オーケストラによる記念演奏会があり、ホール満席の来場者が、日本屈指のレベルの演奏を楽しんだ。
功労者は19人、5団体
市政功労表彰では19人と5団体を加藤市長が表彰した。表彰を受けた人には、表彰状のほか、7年熟成の「鉾杉」、尾鷲ヒノキ製のパネルが贈呈された。表彰を受けたのは次の皆さん、団体。功績の詳細は後報。
【市政の推進】
▽住民自治功労
上村紀美男
上村紀美男
▽地域振興功労
塩津 史子
塩津 史子
▽地方自治功労
濵中佳芳子
濵中佳芳子
▽地域振興功労
松井まつみ
松井まつみ
【社会福祉への貢献】
▽社会福祉功労=
安藤 幸子
大門眞津子
大西 正隆
中村 豊
安藤 幸子
大門眞津子
大西 正隆
中村 豊
▽地域医療功労
澤田 隆裕
澤田 隆裕
【産業の開発または振興】
▽産業振興功労
伊藤 整
伊藤 整
▽水産振興功労
岩本 芳和
岩本 芳和
▽観光振興功労
内山裕紀子
内山裕紀子
▽林業振興功労
田中 靖敏
田中 靖敏
▽農業振興功労
髙村 敦夫
向井ときわ会
農事生産塾 向井の里
尾鷲市開拓農業協同組合
髙村 敦夫
向井ときわ会
農事生産塾 向井の里
尾鷲市開拓農業協同組合
【教育の振興に貢献】
▽社会教育功労
石川 郷子
堀内 達也
黒 英二
石川 郷子
堀内 達也
黒 英二
▽教育功労
二村 直司
二村 直司
▽体育功労
南 進
南 進
【市民の模範となる活動】
▽環境保全功労=尾鷲藪漕隊
【文化の向上に貢献】
▽文化功労=
尾鷲高等学校美術部・書道部
尾鷲高等学校美術部・書道部