現時点の計画分すべて整う
将来の発生が予想される南海トラフでの大規模地震への備えとして、紀宝町が整備を進めていた鵜殿3組の津波避難タワーが完成し23日、竣工(しゅんこう)式が行われた。向井美樹也町長ら関係者約40人が出席し、新たな防災拠点の完成を祝った。同町では5基目の津波避難タワーで、現時点で計画しているタワー整備はすべて完了した。
タワーは、鵜殿小学校前踏切の近くに建設された。鉄骨造りで、避難階は海抜約14メートル、屋上は同約18メートル。高齢者や車いす利用者に配慮し、階段とスロープを併設している。避難場所の面積は約100平方メートルで、約100人を収容でき、多目的簡易トイレや個室などを設け、食料や毛布なども備蓄している。総事業費は約1億8800万円。
同町では南海トラフ巨大地震により、最大11メートルの津波が沿岸部に7分以内で到達すると想定されている。鵜殿地区では昨年9月に1、2組のタワーが完成しており、今回の3組の整備によって地区内の避難環境が大きく改善した。
整備にあたっては、町と地域住民がワークショップを重ね、避難しやすい広い階段やスロープ、夜間や悪天候にも対応できる照明など、住民の要望を反映した。
竣工式で向井町長は「タワーの完成は、地域の皆さまの命を守るための大きな一歩。平常時にも防災学習や訓練の拠点として活用し、いざというときに迷うことなく迅速に避難できるよう、防災意識のさらなる向上につなげてほしい」とあいさつした。
続いて、設計や施工などに携わった事業者に感謝状を贈呈。来賓を代表して三重県防災対策部の田中誠徳部長が「普段から活用され、身近な施設となることを期待している」と祝辞を述べた。関係者らがテープカットし、鵜殿3組自主防災会の森倉賢一郎会長に鍵が引き渡された。
森倉会長は「これまでは避難場所が遠く離れており、避難を諦めていた人もいた。すぐそばにタワーができたことで、助かる可能性が生まれた。本当にありがたい」と感謝。「これきっかけに住民の防災への関心がさらに高まってほしい。今後は避難訓練や会議などにも積極的に活用していきたい」と話した。
町は今後も引き続き、避難路の整備などを進め、津波避難対策の充実を図っていくという。
