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紀南抄「庶民の味覚に戻って」

 かつては庶民の味覚として親しまれていた大衆魚のサンマが、今では漁獲量が減少し高級魚になってしまった。当方が子どもだった40年近く前、近所のスーパーの売り出しでは1尾50円以下で販売されていた。わが家では大量に購入し、塩焼きで味わうとともに、母がせっせと丸干しを作っていた。
 
 全国さんま棒受網漁業協同組合が発表した2025年の全国のサンマ水揚げ量は、前年比約1.7倍の6万4737トンだった。それでも水産庁の統計によると、最盛期だった07~09年に比べると2割程度という。また、かつては三陸沖から南下し、秋の終わりごろに熊野灘沖でとれるサンマは、ほどよく脂が抜け、くせのないさっぱりとした寿司ネタとして人気だったが、もう久しく水揚げがない。温暖化によりサンマの回遊が沖に移ったのが要因。
 
 先日、熊野市で地元の食文化をPRしようとこの時期恒例の「さんま祭り」が行われた。千葉県産のサンマを仕入れ、加工した丸干し1000本の振る舞いがあり、1時間半ほどでなくなる盛況ぶり。水揚げ量が増え、庶民の味覚に戻ってほしいものだ。
 
【F】

      1月27日の記事

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