紀北信用金庫が地元の事業者や関係者、都市部のバイヤーとともに販路拡大を目指す「地域事業者伴走型支援事業」の交流会が3日夜、尾鷲市朝日町の尾鷲商工会議所で開かれた。事業者やバイヤーが売り出していく商品に舌鼓を打ちながら親睦を深めた。
市や尾鷲商工会議所と連携して地元事業者の販路拡大を支援する事業で5年目を迎えている。今回は卸売会社「五味商店」(千葉県我孫子市)や流通コンサルタント会社「ネイビープランニング」(埼玉県上尾市)、展示会やイベントのデザインなどを手掛ける「ジュントス」(東京都中央区)が事業所を訪問し、商品の改善にも取り組んだ。
尾鷲を中心に8事業者とバイヤー、信金、市商工観光課、商工会議所が参加。会場にはマグロのオイル漬けやパスタソース、甘夏ジュース、刺し身、フィナンシェなどの商品が並んだ。乾杯のビールには、尾鷲産のライムを入れてはと勧めがあり、飲んだ人から「おいしい」の感想があった。
五味商店の寺谷健治代表は、地域の産品を外に積極的に売り出す『地産外商』が重要だとし「5年目になると物理的な距離があっても尾鷲を近くに感じていて、自分も尾鷲のチームの一員の気持ちでいる。人口も1年に450人ほど減少し続け、10年後には1万人を切るかも知れないという危機感の中で、地域が一体となって全力で取り組むことが重要」と話した。
ネイビープランニングの溝口康代表は「同じスキームが5年続いているのは着実に成果が出ているということ。一緒に考えながら価値を探し、気づいていない良さに光を当てることを大切にしている」と語った。
より良い商品届ける
展示会での方針練る
翌4日には、バイヤーが市内の事業者を訪問し、商品の改善点などについて意見交換した。
天満浦のAmanatsuTenmaファームでは、首都圏を中心に自然派食品を取り扱う店舗に積極セールスを行っていき、商品パッケージの改良は資材の在庫量や価格などのタイミングを見計ること、甘夏の歌をつくって尾鷲の食育に活用していくことを話し合った。
有機JAS認定も近日中に取得できる見込みであり、五味商店のブースに出品する来年2月のスーパーマーケット・トレードショーでは、農林水産省のフードシフトセレクションの優秀賞受賞と合わせて積極的にアピールしていく方針を確認した。
同ファームの日下浩辰さんは「支援事業の中で、自分では気づかないところを一つずつ解決していっている」「自然にやさしくコストも抑えるスタイルを信じてやっていて、販路を拡大することで、尾鷲甘夏の魅力が広まり、担い手も増えることにつながれば」と話している。
