自治会連合会の市政懇談会で、大分市佐賀関の大規模火災が話題に上がった。高齢者が多い地域でも声掛けで逃げ遅れを防ぎ、介護施設の職員が何度も送迎して迅速な避難を支えたと報道で聞いた。犠牲者が出たことは残念だが、地域に根付く共助の重要性が改めて示された。
一昔前では、都市への人口集中による効率化と生産性の向上、個性を重視して規範や共同体から解放する社会の個人化が良しとされてきたはずが、今では、地域包括ケアシステムや地域共生社会と、共助の重要性が叫ばれている。自治会だけなく、自主防災会や消防団と重要な共助の核になる組織の担い手は減り続けている。
昭和のドラマでしか見たことがない、しょう油の貸し借りができるコミュニティは、現代日本で存在するのか。テクノロジーは進化し、インターネットで世界はつながり、エコにSDGsと国際社会は着実に進歩してきたはずだが、人間をとりまく社会は大切なものを失い続けているのではないか、との思いが消えない。
(R)
