早いもので今年も残すところ1か月あまりとなった。各自治体では一年納めの12月議会が控える。
10月に市長選があった新宮市では、上田勝之市長が初めての定例会に臨む。市議時代は議員席から当局をただしたが、今度は立場が入れ替わり、執行部のトップとして市長席に座る。常任委員会ではすでに議員とのやり取りが見られたが、本会議場での論戦はまた違う。来週には記者会見で定例会に提出する議案を発表するが、国が物価高対策などを柱とする新たな総合経済対策を進める中、上田市長が公約で掲げた緊急的な生活支援を打ち出すのかも注目される。
熊野市では10月の市長選で河上敢二市長が当選し、引き続き市政を担当。国の物価高騰対策を受け、市民1人あたり5000円分の商品券を支給する補正予算案を12月定例会に提案することを発表した。同市ではコロナ禍中の2020年度から商品券をこれまでに9回支給しており、いずれも使用率は9割を超えている。生活支援と経済効果の両面の役割を十分に果たしている。
生活圏が同じ地域でも住んでいる自治体によって住民サービスは異なる。「隣まちは商品券をもらえるが、自分のまちはもらえない」というような住民感情はこれまでにもあった。自治体の規模や財政事情によることは分かるが、長引く物価高により苦しい生活が続いているのは皆同じ。国が示す政策を受けて、各自治体がどのような形で住民サービスを提供できるか。各議会では住民目線を念頭にしっかりと議論してもらいたい。
一方、紀宝町は来年1月に町長選を控え、今期限りでの引退を表明している西田健町長にとっては最後の定例会となる。旧鵜殿村長を経て合併した紀宝町の初代町長に就任して20年間、町のかじ取り役を務めてきた。当初から念願だった熊野川河口大橋を含む新宮紀宝道路が昨年12月に開通したこともあり、今期で区切りをつける。告示まで3か月をきった選挙戦に向けては、1人が立候補を間もなく表明する予定だが、このほかの動きは流動的。今月25日に立候補予定者説明会が予定されており、この段階で無投票か、選挙戦か、構図が明らかになりそうだ。動向を注視したい。
