数年ぶりに尾鷲節コンクールを取材した。会場に入って「少なー」と思わず口に出してしまった。雨の影響があったに違いないが、同じ日に開かれた魚まつりは影響が少なく4500人を誘い込んだ。尾鷲節を聞くより食い気が勝った。
民謡の宝庫の東北地方でも民謡コンクールの継続が難しくなり、終了に追い込まれる地域が増えているという。運営体制が崩れてしまったのだ。その中で尾鷲節コンクールは38年も続いている。全国に自慢できる。
後世に歌い継いでもらおうと、小学校で尾鷲節歌唱の授業を始めたのは、後継者育成につながる取り組みで喜ばしいが、気がかりなのは市役所に依存している実行委員会。行政におんぶに抱っこでは行き詰まる。市民や民間団体が関わるしっかりとした運営体制を再構築すべきだ。
過去に市長の〝号令一下〟で満席に近づけたことがあるが、人集めより「地域の宝」として民謡の価値を認める市民がどれだけいるか。その点でコンクールに関わる市民を増やすことの方を重視しないといけない。
(N)
