深まる秋。街路樹のイチョウもほんのり色づき始めている。山間部に用事があったので、もしかして紅葉が見られるかもと期待して行ったが、山の木々はまだ青々としており、こちらはまったく秋の気配は感じられなかった。
紅葉を楽しむタイミングはなかなか難しい。当地方には紅葉スポットが少ない上に、わずかなシーズンの間に休みが合うかどうかが肝心である。何度か大台ヶ原での紅葉狩りに挑戦したことがあるが、早すぎて単なるドライブになってしまったり、逆に遅すぎて雪が降っていたり。ちょうど見ごろの時でも、深い霧で視界ゼロだったこともある。
地球の温暖化による季節感のゆらぎで、時期のずれ込みだけでなく、色づきにも影響を与える可能性がある。研究によると、冬が短く木の新葉が早く開くようになると、紅葉の色が薄くなるという。日本の高山帯ではもうすでに、紅葉が見られない年もあるらしい。春のサクラと並んで日本の四季を象徴する秋の紅葉が、将来的にますます貴重なものになるかもしれない。今のうちに美しい姿をしっかり目に焼き付けておきたい。
【織】
