三つどもえになった紀北町長選のため、立候補者の話を何度も聞いてきた。主張や経歴、人柄は三者三様だが、3人ともにおしゃべりが好き、という印象は共通している。
取材回数が最も多い現職の尾上壽一氏は、懐が深く、話を引き出すのが上手い。かなり踏み込んだ質問をしても感情的にならず、答えられる範囲を整理し、平易な言葉で説明するので質問がしやすい。
前町議の東篤布氏は一般質問の際も原稿を用意せず、落とし所を探りながら臨機応変に議論を進める。複雑な経歴ではあるものの、前回の町議選で上位当選したことも話していると理解はできる。
新人の中井孝佳氏は自ら調べたデータを惜しげもなく披露しながら、論理的に話すので分かりやすい。「人を楽しませるのが好き」という性格からか、ユーモアを交えて話すので決して難しさを感じさせない。
政策を説明し、相手を説得するために、政治家にとって弁舌は大きな素養の一つ。それぞれの主張にしっかりと耳を傾け、投票につなげてほしい。
(R)
