弁護士によるいじめ防止教室を取材した際、「いじめられている人が常に悪いか」という際どい質問があった。「悪い」はなかったものの「場合によっては、いじめられる人も悪い」と回答する児童もいて、弁護士相手に物怖じすることなく反証を試みていたことが印象的。
小中学生の学習状況調査結果では、全国的な傾向として、「いじめをしてはならない」という回答が小学生より中学生が低く、「社会性を身につけていく中で、個々の状況に応じて考えようとする成長の証ではないか」との仮説に納得したことがある。
社会のルールは常識として飲み込むのが手っ取り早いが、子どもたちがいろんなことを見聞きし、じっくりと考えて得た自分なりの知見こそ揺るぎないものになる。
「いじめはしてはならない」だけでなく「人を殺してはいけない」「平和は大切」と、当たり前すぎて疑うことさえなくなったことに囲まれている。大事なことだからこそ、自問自答しながら、子どもの問に真っ直ぐに答えられるような大人でありたい。
(R)
