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社説「新球場 幅広く活用を」

 尾鷲市の新野球場は来年3月末の完成を前に工事が進んでいる。防災道路のJR跨線橋を通って海側に向かうと、円形の球場の形が見えるようになっている。

 両翼100メートル、センター122メートル。グラウンドだけならプロを招いた試合もできる。また、ナイター設備もあり、軟式野球では有観客の県大会に対応できる明るさの照明を備える。

 今後の利活用による地域活性化に期待が高まるが、完成まであと半年の段階で利活用について話が進んでいる雰囲気はない。

 9月議会の一般質問で加藤千速市長は、大会の開催、合宿誘致などを挙げ「泊まって、市内の飲食店を利用していただきたい」などと期待を寄せた上で、「より多角的な利活用を推進して波及効果が一層拡大できるような形で進めたい」などと答弁しているが、市長が日ごろ言うように、早期に「具体的な計画に落とし込む」必要があるだろう。

 一番成果が上がりやすいのは合宿の誘致だろう。熊野市は女子ソフトと高校野球を中心に成果を上げている。球場に空きがない状態で、熊野市の次の候補地になれる。同時期なら熊野に来たチームとも練習(試合)ができる。一方で、宿泊施設と食事の確保が課題と言える。

 次に、大きな大会が継続して誘致できればいいがこの場合、サブグラウンドの確保も必要で高校生以上の試合ではハードルが高いとみる。また、スポーツ集客については、多目的スポーツフィールドの扱いも関係する。少年野球やソフトボールができれば活用の幅も広がる。

 野球、ソフトボール以外で地域外から人を呼ぶ手段は全くの手探りといっていい。この分野にこそ、多くの人のアイデアが必要だし、地域住民の理解も欠かせない。毎年秋にある市政懇談会で意見を募ってはどうか。野球場などの整備が「上手な投資」になるように頑張ってもらいたい。

      9月27日の記事

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