紀宝町の鵜殿区に津波避難タワー2基が整備され、先日竣工(しゅんこう)式が行われた。同町は災害時に取るべき行動を家族や地域ごとに事前に時系列で決めておく「タイムライン」を全国で先駆けて導入するなど、町全体で防災への取り組み意識が高い。今回の避難タワー整備に際しても、ワークショップを開催し、地区の実情や住民の要望を反映させた。
避難階までは階段とスロープの両方あり、それぞれ十分な幅を持たせた。有事に大勢の人が殺到しても混乱しないようにとの狙いがある。また、避難階には部屋を設け、暑さや寒さをしのぐことができる。今年7月にロシアのカムチャツカ半島付近での地震により津波警報が発令された際、津波到達時刻まで時間があり、いざ高台へ避難した人たちの熱中症対策が課題となったが、これに関してもクリアできる仕様だ。
「自分の命は自分で守る」が防災の大原則。一人一人の意識を高めるには、紀宝町のように計画段階から住民を巻き込んで考えるというのは有益な方法だ。新宮市も出前講座を受け身ではなく、各町内会に働きかけていけばどうか。
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