第14回熊野古道全国書道展(同実行委員会主催)が9日、田辺市本宮町の世界遺産熊野本宮館で始まった。出品者それぞれが熊野や熊野古道についての思いを巡らし、工夫を凝らして作品にしたものを集めた展覧会で、多様な作品が一堂に会している。19日まで。入場無料。
幼児から高校生までの学生の部と一般の部で、熊野地域や古道に関する創作、臨書、写経など多彩な作品を募集。北は岩手から南は沖縄までほぼ全国から作品が集まった他、台湾からの団体出品も含め計152点の応募があった。うち優秀作品67点を展示している。
今年は写経(多字数)が多く、古典の学習に基づいたレベルの高い作品が見られた。写経や半切など大きな作品が年々増えており、特に写経は心経以外の経典や、小・中学生の古典の臨書(手本を見て書くこと)が目立った。
特別賞で第1席の三重県知事賞は、一般の部の佐久間英真さん(和歌山県)の「般若心経」。金泥による金色の字で仕上げられた作品で、古典を基調とした、長年の修練による境地が感じられる一作となった。
三重県教育委員会賞の中尾和花(のどか)さんは、小学5年生にして、中国最古の刻石「石鼓文」の臨書。篆(てん)書の処方を習得し、その特徴をよくとらえているという。昨年に続き5年連続の特別賞受賞。
役員の作品は、他の展覧会でも活躍している審査員クラスのもの。それぞれ個性豊かな珠玉の作品が展示されている。
なお、24日(金)から2月4日(火)までは、尾鷲市の三重県立熊野古道センターでも展覧会を行う。
実行委員会は「同一課題で書技の優劣のみを競う従来からある展覧会ではなく、オリジナルで独創性があり楽しめる書がこの展覧会の見せ場」としている。