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紀南抄「ありがたみという価値」

 観光立国を進める日本では昨今、富裕層インバウンド向けの戦略を取るところも増えてきた。熊野でもそうすればいいと思っていたが、今年は世界遺産登録20周年ということもあり、各地でいくつも取材をさせてもらう中でその考えは改まった。
 
 熊野の魅力は“ありがたみ”だと思う。熊野那智大社へ向かう際、大門坂から歩くとそれなりの数の階段を上る。しかしそれらを越えて本社にたどり着くと、切れ切れの息をつきながら、充実した気持ちになる。そこから拝殿で手を合わせ頭を下げると、信心があろうがなかろうが、どこかありがたい気持ちになる。
 
 熊野古道が伝えている精神性とは、そういった、身体との対話の先にある神仏との邂逅(かいこう)ではないか。道とは、目的地同士をつなぐもの。いわば過程。それが世界遺産になったのは、神仏と向き合うその過程にこそ意味があるという信仰の形が世界に認められたということではないか。
 
 富裕層も、ありふれた「モノ」ではなく、世界のどこにもない「コト」を求めている。「有り難い」ということ。熊野にこそ世界が求める価値がある。
 
【稜】

      12月12日の記事

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