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身近な問題など中心に 中学生が一般質問 尾鷲市

尾鷲市で初の子ども議会
 
 尾鷲市で初めての子ども議会が6日、開かれ、市立尾鷲中、輪内中の3年生6人が参加。尾鷲中の中野歩夢さん、望月教広さん、粟飯原力也さん、輪内中の下地ももさん、藤井健太さんが一般質問を行い、身近な問題や防災、暮らしやすいまちづくりなどについて加藤千速市長に質問した。輪内中の中村匡信さんと中野さんが交代で議長役を務めた。

 市制70周年事業として議会が呼び掛けた。議会改革の取り組みとして令和2年度に実施を検討したが、新型コロナウイルス感染症の影響で実現できなかった経緯がある。

 開会に当たり加藤市長は「皆さんがまちの未来を思い描き、よりよい社会をどのようにすれば作っていけばいいか考えることが政治。子ども議会を通じて、政治や社会問題についての関心をさらに深め、地域社会に貢献したいという気持ちがそだってくれることを心から期待している」と呼び掛けた。


働く場所つくって学校の環境充実を

 中野歩夢さんは「尾鷲の働く場所」をテーマに質問。「尾鷲の街が大好き。将来も尾鷲に残り生活したいと思っている。しかし、都市部や他の地域に比べ働く場所が少なく、働く人数が限られている」と意見を述べた。

 加藤市長は、10年で人口が約3600人減っていると述べたほか、働く場所の減少は税収減などにもつながっていると説明。「働く場所を確保し、新たに生み出すことが求められている」と述べ、大型製材工場誘致、海産物の陸上養殖などおわせSEAモデル事業を「何としても実現させるため、私が先頭になって取り組んでいる」と話した。また、ゼロカーボン、ネイチャーポジティブ、オーガニックなど1次産業振興に触れ「尾鷲の1次産業を復活させたい」と思いを語った。

 望月教広さんは資源ごみ(紙類)の回収について「月1回では足りないという話を聞いた。家に溜まってしまう。せめて3回にしてほしい」と求め、街灯についても「塾の帰りなど(暗くて)怖い」と訴えた。

 加藤市長は資源ごみの回収について、紙の日を例に13台26人で対応していると説明。回数を増やすと人員確保と車両を購入して整備する必要があるとして「回収日を増やすのは困難」と理解を求めた。

 分別しごみを減らすことは、有害物の発生抑制、最終処分場やごみ処理施設の負荷軽減につながり、SDGsの目標達成には欠かせないとし、一層のごみ分別を促し、「過剰な包装を断るなど、身近な取り組みからごみ減量を」と呼び掛けた。

 街灯については、防犯灯設置の基準を説明。住民が減りまちが暗くなっていることから、各自治会などを通じて設置を進めていることを紹介。「具体的な場所を教えていただき、現地を調査し自治会とも連携して設置に取り組みたい」と回答した。

 粟飯原力也さんは、尾鷲総合病院に小児科がなく「すぐかかれない」として小児科を要望。また学校施設について、空調のない部屋があり「特に体育館は避難所になっている」として早期の対応を求めた。

 加藤市長は、小児科は三重大学の医師派遣に頼っていること、県全体で不足していることなどを説明し「子育てしやすいまちづくりのために小児科が必要」と述べ、常勤医師確保のために働きかけをしていると回答。他の診療科も医師不足であり「子どもたちには医師を目指してもらい、総合病院で頑張ってほしい」と期待を込めた。

 学校の環境整備については、耐震改修、普通教室へのエアコン導入など順次進めていることに理解を呼び掛ける一方、「異常気象が続いておりエアコン設置は重要。宮之上小、尾鷲小の体育館にスポットクーラーを設置した。来年度は尾鷲中への導入を検討している。財源が限られており全ての学校に同時に設置するのは困難」と事情を説明した。


ふるさと納税や防災・獣害対策

 下地ももさんは「中電跡地の利用」「ふるさと納税」「防災対策」「防災意識を高める取り組み」の4項目で質問。中電跡地に野球場を整備する計画に「他の競技は検討しなかったのか」などとただした。

 加藤市長は、野球場整備は広域ごみ処理施設を作るため現市営野球場を解体することになった代替と説明。野球場ではあるが野球以外にも使用すること、多目的スポーツ広場の整備も進めることなど計画を示し「3世代が集え、誰もが快適に使える総合公園として整備する」と答弁した。下地さんが整備費の12億円を「回収できる見込みは」と質問したのに対しては「財政計画を作っている。若い皆さん方の世代に負担を掛けることはない」と理解を求めた。

 ふるさと納税について下地さんは、尾鷲市出身の人にもっと利用してもらえるような取り組みを質問。加藤市長は、出身者と尾鷲に身内がいる人によるふるさと納税は3万8577件のうち1700件弱との推定を示し「決して少ない数ではない」との認識を示す一方「応援の輪をなお一層広げていただけるようなPRをやっていきたい」と回答した。

 防災対策に関し、下地さんは能登半島地震を踏まえ、孤立に強い地域づくり、孤立しても生き延びられる施設整備を求めた。加藤市長は各種訓練などを通して関係機関が連携していることや備蓄状況、ちびっこ防災フェア、広報おわせへの情報掲載などを紹介した。

 藤井健太さんは、ICT環境について一人1台のタブレット端末更新や学校の回線の高速化を要望。「台湾との交流授業の時、回線の影響で声が届きにくかった」などと訴えた。

 加藤市長は国の調査で、輪内中のネット環境は推奨レベルになっていたと述べ、「ボトルネックの改善は難しい」と答弁。端末は令和7年度以降順次更新するとした。

 子育て支援対策について藤井さんは「輪内地区には小学生や幼児が遊べる公園がない。友達の家に遊びに行って、(その家の)保護者の負担が大きくなっている」とした上で、中電跡地に室内遊戯場を作ることや体育館の子どもへの開放などを提案した。

 加藤市長は、水曜日にコミュニティーセンターを午後5時まで試行的に開放していることを紹介したほか、中電跡地についてはキッズパーク的なものや芝生広場などの整備を検討していると説明した。大規模な室内遊戯施設の整備は「大変難しい」との見解を示した。体育館の開放に関しては、居場所づくりにつながるよう進めたいと前向きな考えを示した。

 終了後、中野さんは「とても緊張した。尾鷲のまちにずっと住みたいと思って質問した」と感想。南議長は「堂々と質問していた。(議会や執行部と)話し合いが必要だが継続できればいい」と語った。

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