福岡県大川市の市長選で、77歳の新人が47歳の現職を破って当選した。争点になったのは、総事業費88億円にのぼる道の駅と川の駅を併設した観光拠点建設の是非で、計画は民意によって白紙となった。
市制70周年を迎える大川市の人口は5万人から3万人に減少し、幼稚園の閉園、中学校の統廃合、高校の閉校が続いている。木工が有名で、有明海と筑後川の恵みののりやイチゴなども名産品。本紙地域と重なる点がある。
一般会計の半分以上の巨大事業に慎重になるざるを得ないが、起死回生の活性化策に賭けるべき、という考えも理解できる。何が正しかったのか、これからどうすれば良いのか、一概に評価できない。
このニュースは年齢が注目点となったが、老若は能力に関係がない。昨今〝老害〟という言葉を耳にするが、先人への敬意もなく、いたずらに世代間対立をあおりかねない風潮を嫌悪している。現実の問題解決に力を発揮し、次の世代のために良い環境をつくるためには、経験豊富な人たちによる導きが欠かせない。
(R)