新宮市の高齢者タクシー券交付事業が好評で、申請者数は、当初見込んでいた倍以上の２４８２件（８月２９日現在）。市は追加の費用を９月議会で提案する。

　好評なのは結構だが、あくまで目的は移動支援に加え、運転免許証の自主返納促進による交通安全対策。事業を評価するためにはうわべの数字だけでなく、目的に対する「効果検証」が重要である。

　市は新宮署に問い合わせ、昨年に比べて免許証の自主返納者数が増えているとの回答を受け、「一定の効果があった」とした。しかし具体的な数字までは聞けなかったとのこと。

　本紙で署に問い合わせると、１月～７月の期間で、串本までを含めた管内で、昨年同時期より４５件増えているとの回答だったが、新宮市のみでは集計しておらず、また、事業が始まった今年度上半期のみでの集計も行っていないとのことだった。

　増えた数がごくわずかでも、言葉の上では「昨年より増えた」と言える。それでは費用対効果も、事業との因果関係もわからない。それで「効果があった」は早計ではないか。市民のお金である。実態把握と有効な検証を求めたい。

【稜】