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紀南抄「災害に対する準備」

 先日、新宮市の世界遺産・熊野古道「高野坂」入り口付近にある、さかさ川河口付近で、堆積した砂利を掘削して移動させ、河道を確保する作業が行われた。同河川の美化活動に努めている市民団体「さかさ川をきれいにする会」の平野雅裕会長が重機を使って行ったもので、河口閉塞は解消された。

 昨年は、台風時の大波で王子ヶ浜からさかさ川に大量の砂利が流れ込み、復旧作業を行った。平野会長は「われわれは重機を使ってようやく移動させる砂利を、波はいとも簡単にもっていく。自然の力はとてつもなく強い」と話した。

 当地方に甚大な被害をもたらした紀伊半島大水害からまもなく9年を迎える。あの水害では「想定外」という言葉がよく使われた。降雨量、河川の水量ともに想定を上回るものだったため、ハード・ソフト両面で防災が機能しなかったとの見解を示す自治体もあった。

 昨今、気象状況の変化は周知の通りで、各自治体や住民一人一人が過去の災害の教訓を生かし、命を守るために早めの避難行動をとる必要がある。台風シーズンはこれから本格化する。襲来がないことを願いながらも、心の準備はしておきたい。

【F】

      8月26日の記事

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