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社説「観光行政でも広域連携を」

 先日発表された温泉総選挙2019で、那智勝浦町の「南紀勝浦温泉」が歴史・文化部門で1位に選ばれた。昨年の総選挙では総務大臣賞を受賞したが、部門1位となるのは初めて。「旅して日本プロジェクト実行委員会」が主催する、温泉地の活性化推進を目的とした全国民参加型地域活性化プロジェクト。趣旨に賛同した全国の温泉地がその魅力をアピールするため、リフレッシュや女子旅、絶景など9つの部門から1部門を選択して参加する。今回は全国128の温泉地が参加、約3か月の投票期間に19万9766票が投じられた。

 当地方を訪れる観光客の多くは温泉が一つの目的になっている。特に那智勝浦町では、温泉とマグロを代名詞とした観光戦略を立ててセールス活動を行っているが、今回の「日本一」の称号をこの一年間、大いに活用して集客に努めてもらいたい。堀順一郎町長も「賞に恥じないよう、熊野地域の歴史・文化に触れていただくためのお出迎え等の充実に努めたい」と意気込んでいる。

 また、昨年末には外国人のための旅行サイト「Gaijinpot Travel」が主催するサイトの読者投票で「2020年日本の旅行先トップテン」に熊野地域が1位に選ばれた。東京や中山道、札幌、琵琶湖などいわゆるブランド観光地を抑えての1位は価値がある。

 このように、世間は当地方を主要観光地としてその魅力を認めている。世界遺産登録がされる頃から、「ポテンシャル(潜在能力)はある」とよく言われ、一方で、PRや受け入れ方法については常に課題とされてきた。本来なら、このような高評価に比例して地元経済の潤いを実感できなければならないが、そこまで至っていないのが現状だ。

 点よりも線で動くことが大切。行政と民間団体との役割分担を明確にして効率化を図り、市町村の枠を超えてこれまで以上に連携を強化する。南郡・熊野市では消防・救急や病院、新宮・東郡では公設市場などで広域行政を敷いている。定住人口減少が今後も続き、交流人口増大による地域活性化が望まれる中、全国各地のライバル観光地に差をつけるため観光行政でも”ワンチーム”で取り組むことも一つではないか。

      1月24日の記事

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