政治は、地理と共に語られなければならない。
平面の地図で考えると、人口や面積といった誰もが測れる指標でしか見ることができない。しかし、土地には土地柄というものがある。風土と言い換えてもよい。例えば当地方なら温かくて湿度が高く、水が豊富で森林も育つ。豊かな自然環境に根付く熊野信仰が、外の人々を受け入れる住民の明るさと温かさにつながり、商売や文化にも明るい。このように、生活文化は風土と紐づいている。
今の話をすれば、例えば防災。能登半島地震で道路の寸断による陸の孤島化が問題となり、紀伊半島の特徴と類似していることが懸念点だが、これも全く地理の問題と同義である。同様に、子育ても、福祉も、教育も、医療も、観光も財政も人権問題も、あらゆる政治課題は土地柄をルーツに進めなければ持続不可能なものとなる。
その最先端が地方自治だ。都会の人が考えた政治にのっかるだけでは地方は作れない。その土地に住み、その暑さや食べ物のおいしさ、人のやさしさに触れる現地の政治だからこそ実現できるものがある。ローカルを見つめる。
【稜】