「大人は楽しい」と言える大人が今、どれだけいるだろうか。
思春期の頃、お金の使い方も、1日の行動も、飲酒喫煙も、自分のあらゆる行動が制限されていることに不自由さを感じていた。「社会はもっと厳しい」「今は守られているだけ」などと訳知り顔な大人に言われ、意味のわからない不安と根拠のない自信が混じりやきもきしていた。
今、28歳になって、大人は自由で楽しいものだと感じる。住む場所も関わる人も職業も、自分で選択できる。「自由の裏に責任を伴う」とマイナスに言う人もいるが、逆に「責任を果たせば自由に行動を選択できる」のだ。同じことを語順を変えて言うだけ。つまりは見方の問題である。
若者の死因を見ると、2022年は、男性は10~44歳、女性は10~34歳で自殺が最も多い。未来ある若者が自ら命を絶つ時代。私はこの理由に、少なからず彼らの先に立つ世代が、何の気なしに訳知り顔で絶望を語ってしまっていることが絡んでいるような気がしている。
若者が希望を持てるように、大人が光を示せないだろうか。今日発する一粒の言の葉が世界になる。
【稜】