累次の対策にもかかわらず、出生数の減少が止まらない。先日、厚生労働省が公表した国内で昨年に生まれた子どもの数は68万6021人で初めて70万人を下回った。ピークの昭和24年が269万6638人で、3割近くまで減少した。
極論すれば少子化で困るのは社会であって、子どもを持たないことを選択した個人ではない。個人の価値を何より大事にするならば、「子育てしにくい」と言われている昨今、出生数が低下するのは当然の話。
子育て環境の整備も重要だが、政策的に「子どもを育てた方が得」という経済的なプラスを出しつつ、「子どもを産み育てるのは素晴らしいこと」という精神的なプラスを国民に受け入れてもらうことに尽きるだろう。先の長い取り組みになる。結婚の〝適齢期〟についても議論を整理する必要がある。
ところで、子どもを産んで育てられずに放置してしまう痛ましい事件の報道が多い。望まない妊娠を避ける仕組みとともに、産まれた命が適切に守られる取り組みの強化が必要だ。
(M)