和歌山県人会創立70周年記念
ブラジル和歌山県人会創立70周年記念の「日本・ブラジル音楽交流コンサート~新宮城に思いをはせて~」が11日、新宮市下本町の丹鶴ホールで開催された。ブラジルのトップアーティストが出演し、津軽者三味線や箏(こと)との和洋コラボレーション演奏を届けた。
同県人会は、ブラジルに渡った移住者により創立され、現在はその子孫たちが運営している。コンサートは、音楽を通して日本とブラジルの文化交流を図ろうと、両国の有志でつくる実行委員会(小渕伸二委員長)が主催。サブタイトルにもなっている新宮城跡の保存整備活動に関わる人たちを応援したいと、ブラジルで音楽事務所を運営する鈴森静香さんが協力した。
保全活動を広く知ってもらうために、会場に倉本隆之さん作製の新宮城ジオラマ、栢木隆さんの新宮城想像鳥瞰図、小阪享志さん撮影の新宮城写真、初公開の新宮城予想図などのパネルを展示した。
コンサートには、和歌山県出身で箏の第一人者である西陽子さんと津軽三味線奏者の木之下真市さんをはじめ、シェン・響盟・リベイロさん(尺八、フルート)、ガブリエル・レヴィさん(アコーディオン、ピアノ)、ネイマール・ヂアスさん(ブラジルギター、ベース)ら、ブラジルなどで活躍するミュージシャンが出演。新宮市出身のピアニスト・山口ちなみさんもピアノで参加した。
プログラムは、地元バンド「コスモス」とのコラボ演奏でスタート。シェンさんの司会で進行し、津軽三味線と箏のソロ演奏では、三味線の豊かな共鳴と箏の柔らかい繊細な音色に観客は引き込まれていた。和楽器とブラジルギター、ピアノ、ベースなどの共演が続き、「新宮節」のアレンジ演奏では、会場から手拍子が起こっていた。
尺八を吹いたシェンさんは、1999年に天皇・皇后両陛下の御前で演奏したこともあるという。曲間のトークでは、軽妙な話術で会場を笑いに包みながら、曲や楽器のエピソードや内容を紹介した。
休憩をはさみ、第2部では、ブラジルミュージックや「上を向いて歩こう」、ガブリエルさん作曲のオリジナル曲など7曲を披露。最後に出演者全員でアンコールに応えて幕を閉じた。
小渕実行委員長は「新宮城への思いが両国の架け橋となり、友情と理解が深まることを願っている」と話していた。なおチケットの売り上げの一部と寄付は新宮城跡の保全と管理に活用される。