三味線演奏や福引大会
新宮市の熊野速玉大社は4日、例祭「扇立祭(おうぎたてまつり)」に使用するヒノキの大きな扇「彩絵檜扇(さいえひおうぎ)」を蔵出しした。同祭はコロナ禍で過去3年は神事のみ斎行(さいこう)していたが、今年は4年ぶりに扇立祭奉賛会による神賑行事も予定しており、盛大に営まれる。
同社の扇立祭は毎年7月14日に斎行。国宝檜扇の写しを神前に開帳し、夏に流行しやすい病気や作物につく虫を追い払い、健康と五穀豊穣を祈願する神事。扇はその語源「招ぐ」から、本来神を招く用途から発生したもので、神の依り代(よりしろ)の意味を持つという。
日本には国宝の檜扇が18握あり、うち11握が同大社に伝わる。檜の薄い板の木目の美しさを生かして彩色、金箔、銀箔が施され、室町時代から「熊野檜扇」として伝わっている。
現在神事に使用している檜扇7握は昭和39年に模写された複製品(レプリカ)で、本殿の速玉宮のみ、先々代の上野殖宮司が模写したものを祀(まつ)る。檜扇のサイズは、本殿用の大きいものが高さ1.5メートル、幅1.65メートル。各社殿の6握は、高さ80センチ、幅1.3メートル。それぞれに色彩豊かな図柄が描かれている。
蔵出しでは、収納箱から7握(あく)を取り出して並べて開き、ほこりを払い、虫干しした。また、巫女(みこ)が台座を丁寧に拭き上げていった。檜扇は数日間外気に当てた後、再び箱に収め、祭り当日の御開帳を待つ。濵中孝成禰宜(ねぎ)は祭りに向け、「コロナ前の盛り上がりが徐々に戻りつつある。皆さまが暑い夏を健康に暮らせますように」と話した。
扇立祭は7月14日(金)午後6時から神事を行う。檜扇開帳は神事から午後8時まで。神事終了後には、境内の扇立祭舞台で、今年はミス扇コンテストに代わり、津軽三味線演奏を行う。三味線プレイヤー史佳Fumiyoshiさんと、史佳さんが2016年に結成した三味線ユニット「Three Line Beat」(スリーラインビート)メンバーの更家健吾さんとドラム&パーカッションRicaさんも訪れ、パワフルなステージパフォーマンスを披露する。更家さんは新宮市出身で、故郷での凱旋ライブになる。
奉賛会では、マイナンバーカードを持参した小学生以下限定で豪華景品の当たる福引大会も行う。このほか、同大社敬神婦人会によるお茶席もある。
▼イベント情報
- 日時
7月14日(金)
午後6時~ - 場所
熊野速玉大社