巡礼の最終地点同士で交流協定
世界遺産「熊野古道」の終着点である那智勝浦町と、「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の終着点であるスペイン・ガリシア州フィステーラ市の交流協定締結記念イベントが7月24日(水)、同町宇久井の休暇村南紀勝浦で行われる。那智勝浦町の日の出とフィステーラ市の日の入り時刻がほぼ一致する同日に両市町をオンラインでつなぎ、双方で朝日と夕日を観測する。
イベントは世界遺産登録20周年記念事業の一環。堀順一郎町長が28日、新宮市の県東牟婁振興局で発表した。
ヨーロッパの西の果てとアジアの東の果てに位置する両市町はともに、巡礼の最終目的地を持つ歴史豊かな地方都市で、海のかなたに天国や極楽浄土があるとされる伝承や漁業が盛んな港町であることなどの共通点があることから、今年1月に交流協定を結んだ。
サンディアゴ大学のホルヘ・ミラ教授の研究で、両市町の日の出と日の入りが同時刻になる日が年に4回あることが分かり、締結後の初めての交流として同イベントを企画。那智勝浦町では午前5時6分の日の出予測時刻に合わせて実施する。休暇村から日の出を見学し、設置したモニターでフィステーラ市の様子も同時に映し出すことを目指している。雨天の場合は事前に撮影した日の出と日の入りを放映する。ミラ教授の講話やスペイン風の朝食提供も予定している。スペイン会場では、フィステーラ岬の灯台で市長らが参加して行う。
那智勝浦町会場では、町・県関係者、休暇村宿泊者、地元中学生らが参加するほか、町民も募集する。町内在住者で先着30人。イベント時間は午前4時30分ごろから同6時ごろまで。募集は7月1日(月)~10日(水)。問い合わせ・申し込みは、那智勝浦町観光企画課(電話0735-29-2007)。
堀町長は「フィステーラ市との交流を深める第一歩。このイベントをきっかけに地元の世界遺産の魅力を再確認するとともに、子どもたちには世界に目を向けてもらえるようになってほしい」と話した。
■4寺社の記念御朱印も
また、同じく世界遺産記念事業として、町内の世界遺産4寺社(熊野那智大社、那智山青岸渡寺、飛瀧神社、補陀洛山寺)を巡る御朱印色紙の無料配布も報告した。御朱印は各500円で、期間中に4つ集めると、「熊野の水」と紀州材の「ヒノキコースター」がもらえる。
令和3年の那智勝浦観光機構の調査で、那智山周辺を訪れた観光客のうち勝浦の街中にも訪れた人が16%にとどまったことから、町内を回遊するツールにしてもらおうと5000枚製作した。
色紙の配布場所は、JR紀伊勝浦駅前の町観光案内所、大門坂駐車場案内所、南紀勝浦温泉旅館組合、道の駅なち交流センター。配布は7月6日から来年7月6日までだが、期間内でもなくなり次第終了となる。特典の引き換え場所は町観光案内所。