田辺市本宮町の川湯温泉で1日、毎年恒例となっている「仙人風呂」の開湯式が行われた。
仙人風呂は大塔川の一部を堰(せ)き止めて作られた、横幅約24メートル、奥行き12メートル、深さ約60センチの露天風呂。73度の温泉と川の水を引き入れて適温にされている。湯船の底からは泡がブクブクと源泉が湧き出ているのが確認できる。名前の由来は川湯温泉がその昔「仙人」のお告げによって発見されたという言い伝えと、「千人入れるくらい大きい」ことから名付けられたという。泉質はアルカリ性単純温泉で、神経痛、筋肉痛、入浴後の保温効果もある。
芝伸一実行委員長は冒頭のあいさつで「2、3日前には雨が降りましたが、何とか今日のオープンに間に合うことができました。今年は仙人風呂ができて40周年。歴史を感じることができる温泉です」とメモリアルイヤーであることを強調した。
熊野本宮観光協会の名渕敬会長は「川湯温泉は川原から湧く温泉で、お風呂もそうですが、このお湯を使って料理を作ったりコーヒーを入れたりしてきました。この地域は12月、1月、2月と寒くなり、昔は本当に不便な場所でした。そんな冬場にお客さんに来ていただくために先輩方が「仙人風呂」を考えだしました。引き継ぎ引き継ぎ今年で40年。この温泉という自然に感謝して仙人風呂を作っています」とあいさつした。
開湯式では、同町請川の祐川寺住職による安全祈願が行われ、川湯温泉関係者が湯気の立ち込める湯船にお神酒を注ぎ入れた。安全祈願の後には芝実行委員長による開湯宣言が行われ、「仙人風呂40周年、開湯」の掛け声と共に、待ち構えていた入浴客は湯船に飛び込んだ。
開設期間は2月28日までの3か月間。入浴無料で、毎週土曜日の午後8時~10時には灯篭(とうろう)でライトアップする「湯けむり灯篭」(雨天中止)なども催される。