尾鷲海上保安部は10日、年末年始特別警戒および安全指導の出動式を行った。早川昌利部長ら21人が参加。漁師や遊漁船事業者に安全運航を呼び掛けた。
多客繁忙期である年末年始に合わせ、テロ警戒や犯罪の未然防止の徹底、安全運航の徹底等を図ることを目的に、来年1月10日まで海上保安庁が取り組んでいる。
尾鷲海保の出動式は「みえかぜ」が停泊する尾鷲港第二桟橋岸壁で行われた。早川部長は、「尾鷲海上保安部が管轄している東紀州地域は良好な釣りスポットが多くあり、毎年、年末年始の休みなどを利用して県内外から多くの人が訪れて、岸壁、磯場、釣り船やプレジャーボートなどさまざまな方法で釣りを楽しんでいる」と述べ、「海の安全確保を図るため、遊漁船、プレジャーボートに対しては出航前の点検、適切な見張り・操船、気象・海象の把握、乗船者の海中転落防止など安全運航の徹底を指導する。釣り人に対しても、ライフジャケットの常時着用や連絡手段の確保、118番の活用など安全指導を行う」と宣言。特に気温、海水温とも低下する冬場は、転覆や海中転落事故が命に関わるとして、「海での事故を防ぐことは、人々の命を守ることでもある。この期間、重点的に安全啓発・指導を行い、海の安全・安心を確保すべく、一致団結して任務に当たってほしい」と訓示した。
この後、4人が「みえかぜ」に乗り込んで、尾鷲湾内をパトロールした。ほかの職員は、天満の船溜まりで、作業をしている漁師や遊漁船の船長らに、チラシを見せて事故状況を説明して、しっかり海難事故防止対策を行うよう要請した。
尾鷲海保によると9日までに人身海難にあったのは20人で、このうちマリンレジャー中の事故は釣り7人、遊泳中2人、サーフィン中と磯遊び中各1人など11人。5人が亡くなっている。
船舶海難は14隻で、プレジャーボートが12隻とほとんどを占める。このうち免許のいらないミニボートが5隻。今年はミニボートの海難が頻発しているほか、昨年の年末年始にもミニボート海難が起こっている。
早川部長は「ライフジャケットの着用、スマートフォンはビニールケースに入れて持って行くなど連絡手段の確保、118番通報の活用といった、安全に遊ぶためのルールの周知を図りたい。ミニボートは気象条件の変化に弱く、バランスも良くない。天気予報をよく見て、安全を最優先に楽しんでほしい」と話した。
