サモアから笹川平和財団の招聘(しょうへい)プログラムで来日している研修員が23日、世界遺産・熊野古道の馬越峠を訪れ、地域の歴史や環境保全の取り組みについて理解を深めた。研修成果は母国の観光政策に生かす。
同プログラムは、持続可能な「地域密着型エコツーリズム」の普及を目的としたインターンシップ研修。財団は2016年から鳥羽市のエコツアー会社「海島遊民くらぶ」と連携し、太平洋島しょ国への観光モデル導入を支援してきた。これまでにパラオ、マーシャル諸島、トンガなど多くの国から行政官や専門家を受け入れている。
今回訪れたのは、サモア国立大学経営・マーケティング学科長のベルナデッテ・サマウさん(43)。15日から7月11日まで日本で研修中で、この日は午前中、馬越峠を途中まで歩き、午後は熊野古道センターを見学した。
くまの体験企画が受け入れ、代表の内山裕紀子さんが出迎えた道の駅海山で活動を簡単に紹介。地元の人が少人数の個人客を丁寧に案内する地域密着型エコツーリズムの核心に触れた。
登り口からは、県観光ガイド養成プログラム講師の山脇弘二さんが通訳を兼ねて案内。ヒノキ美林に囲まれた石畳道を夜泣き地蔵までゆっくりと登りながら、熊野古道の成り立ちや山岳信仰、修験道の歴史などを紹介した。サマウさんも自国の精神文化について語り、意見交換を重ねたため、通常20分ほどの行程が約1時間かかった。
サマウさんは「石畳を歩き、植林された木々を見て、地元の人たちが自然を大切に守ってきた思いを感じた。次の世代に伝えようとする気持ちも理解できた。若い世代がもっと関わるべきだと思う」と話した。
さらに「自分たちの自然環境をより尊重し、守り続ける必要性を改めて感じた。自分の土地に対する畏敬の念を守り続けていきたい。日本で学んだ持続可能性の考え方を、サモアでも広めていきたい」と語った。
熊野古道センターでは、展示や古道保全に携わる人々を紹介する映像を視聴。世界遺産を未来へ引き継ぐための取り組みへの理解を深めた。
