三重県立尾鷲高校の将来展望を話し合う紀北地域学校活性化協議会が2月27日夜、同校会議室で行われた。尾鷲市と紀北町の教育長、学校関係者、PTA代表らが参加。人口減少によりさらなるクラス数の減少が見込まれる中、地域唯一の高校である尾鷲高校に期待される教育内容やあるべきクラス編成について話し合った。
協議会は毎年開いており今回が31回目。昨年から、中学3年生の人数によりクラス減が想定される令和10年を見据えた高校の在り方を検討している。開会にあたり奥地克也校長は「尾鷲高校の将来がかかっている大切な協議会。きたんのない意見を」と呼び掛けた。
県教育委員会の一尾哲也教育政策課長は「尾鷲高校は地域に唯一の高校で、地域の方に愛されている。子どもたちにとって最善の教育環境を考える場。ご意見は可能な限り教育活動に取り入れたい」とあいさつした。
尾鷲高校の全日制の定員は現在、4学科・コースで計160人。令和10年には紀北地域の中学校卒業生が155人となり、令和5年に生まれた子どもが高校に入学する令和21年には77人となることが見込まれている。また、同校は普通科と複数の専門学科が併存する県内でも珍しい構成となっている。
意見交換で中井克佳紀北町教育長が「(学校の)存在自体が大切。子どもたちがいろいろなことに挑戦していると、地域も活気づく」と述べたほか、子どもたちに多様な選択肢が提供できること、個別最適化への対応が必要と話した。田中利保尾鷲市教育長は、子どもが減ったとしても受け皿が必要と強調。貧困が課題になっているとし「地元に高校があるから進学できる、ということもあり得る」と話した。また「似た環境の学校の好事例を勉強する機会があればいい」と述べた。
教員代表の出席者からは「人口減で学級数が減るのは仕方ないが、学校も学科も残したい。縮小しながら続けるしかないのでは」との発言があった。
同校で取り組んでいる「まちいく」については、子どもたちが主体的に学ぶことや、地元に関心を持つことにつながっていると評価があった。学校側から、情報ビジネス科での商品開発やシステム工学科でのものづくりに波及させる案が示された。
PTA関係者からは県南部に大学がないことを踏まえ「農林水産の専門学校か大学があれば魅力が出る」との意見があった。
専門学科については「実業科」のように一くくりにする案があるが、授業の選択のやり方によって、推薦入試に必要な単位が取れないケースが出て来るとの指摘があった。
奥地校長は、オンライン授業は規制緩和で、受講側に専門の免許を持った教員を配置する必要が無くなったことを説明。「学級減による教員不足の懸念はないが、生徒が主体的に学ぶことがより必要になる。教員研修も進めている。主体的な学びの中心になるような生徒をつくりたい」と話した。
このほか、直近の入試に関して、160人の定員に対して95人しか志願者がいないことも話題になった。「学校の取り組みをより地域の人に知ってもらう必要がある」との意見があり、参考として相可高校の取り組みについて紹介があった。