〝お隣付き合い〟助かった
紀北町の自治会連合会と自主防災会による防災講演会が8日夜、東長島公民館で開かれ、約100人が自衛官から能登半島地震の救援活動や、南海トラフ地震発生時の備えについて説明を受けた。
自衛隊第33普通科連隊の入道智史第2科長が「能登半島地震での活動について」の演題で、捜索のためのがれき除去、孤立地域解消のための道路啓開、避難所への物資輸送など、被災地支援の様子を写真や動画を交えて紹介。入道さんの父方の実家が輪島市にあるといい「朝市もよく行っていたが、見る影もなかった」と述べた。
現場では、市役所や町村役場、被災地住民と接するが、活動内容は上級部隊と県が決定している点にも触れ、苦しむ被災地と活動範囲の板挟みもあると述べた。「自衛隊の役割は生活支援であり、復興支援ではないところが難しい。例えば、孤立解消のための道路復旧はできるが、復興のための水道管調査はできない」と語った。
南海トラフでの大規模地震発生の危険性にも触れ「三重県も地理的な類似点があり、能登半島で起きたことは警戒心を持ってみてほしい」と訴え、住民の協力や普段からの備えの重要性を指摘。「田舎だからお隣付き合いがあり、携帯電話が通じない中でも地域内で連携がとれていたのは助かった。正月で帰省や移動していた人も多い中、町内会や自治会のレベルで把握していたことは大きかった。普段から地域の関係性があることが強みになる」「災害になれば携帯電話の回線も使えなくなる。発災時の備えは持っていてほしい」「発災時は自衛隊や役場でも解決できない問題も出てくる。急いで来ても何日間もかかってしまうので、その間、安心できる備えが必要」と振り返った。
出席者から南海トラフ地震への不安と対応についての質問があり「南海トラフ地震に対する計画があり、到着した部隊が投入されることになる」「道路が寸断されて孤立する地域が出てくるのは、能登半島の教訓としなければならない。津波の心配もあるが、海に面しているのは海路もあるということでもある」と語った。
避難所に備えておくべき物は何か、との質問には「水や食料もだが、薬の手帳があれば、それを確認して対応ができる。持病がある人は数日分の薬があれば」と答えた。