新宮市議会3月定例会を前に12日、市役所6階第2委員会室で、常任委員会である教育民生委員会の所管事務調査があった。委員6人が出席(欠席=月輪匡克委員)。健康長寿課が進める「避難行動要支援者避難支援事業」については、災害の避難時に誰かの支援が必要な人の名簿を町内会長に渡したことについて、委員から「絵に描いた餅にならないよう、実践力のあるものにする必要がある」と指摘があった。
町内会長の不安伝える
同事業は、災害時に1人での避難が困難と見られる避難行動要支援者(以下、要支援者)の名簿を作成し、本人の同意のもとで個別避難計画を立てて、災害時の円滑で迅速な避難の実行を図るもの。昨年12月末時点で避難行動要支援者数4999人に対し、登録申請書作成数2140人、個別避難計画作成者数1292人。
健康長寿課は、1月末時点で市内133町内会中107町内会に対し、同意した要支援者1475人分の名簿と説明資料を提供していると説明。残る26町内会についても、随時町内会長への説明を行い、名簿提供の取り組みを続けていきたいとした。
これに対し、榎本鉄也委員(委員長)は、法的根拠のない任意団体である町内会に名簿を渡し、町内会長の有事の際の具体的な行動も示されていないとして、「余計に混乱するのでは。どこが責任を持つのかがはっきりしないから意味をなさない事業になってしまうし、責任を感じた人が『助けに行かなきゃ』と避難せずに亡くなったりしたら、一体誰の責任かという話になってくる」と追及した。
当局は「庁内で会議を持ってどのようにしてやっていけばよいのかを協議しているが、まだ答えが出ていない状況」と答えた。健康長寿課によると、町内会にはできる範囲での支援をお願いしており、特に事前の予防の観点から準備としてできることをしてもらい、余裕があれば要支援者と一緒に避難できるよう促すものであるという。
濵田雅美委員は「個別避難計画をもとに避難訓練をするという考えはないか」と質問。当局が「今の段階ではそこまで至っていないが、今後は避難訓練や、要支援者の方も一緒に避難するような取り組みもしていただけたらと(町内会長に)説明している」と応じた。濵田委員は、細部にまで気を配って、日ごろから避難を想定できるような取り組みを求めた。
大坂一彦委員は「名簿を渡されてどうしていいかという心配を持っている町内会長の話を聞いた。名簿が個人情報で極秘だということで怖がってしまうこともある。もっと深い説明を」と求めた。
■新制服の価格抑えて
市立緑丘中学校と市立城南中学校の統合に関しては、竹内弥生委員(副委員長)が制服の価格について過去に「8万円払った」という知人の話から、価格を質問。市当局は新制服の価格はこれから業者と詰めていく中で制服と体操服合わせて8万円弱に近い価格になるよう考えているが、物価高騰のあおりも受けてどのような価格になるかは今後の課題になると話した。竹内委員はなるべく価格を抑えるよう求めた。