災害に備え「マイ・タイムライン」作成
国土交通省紀南河川国道事務所主催(新宮市・丹鶴公民分館協力)による「お天気キャスターと作る!マイ・タイムライン講習会 ~自分の逃げ方を考えよう」が24日、新宮市の丹鶴体育館で開催された。
タイムラインとは予定表、スケジュール表などの意味で、今回の講習会では災害などに備えて、マイ・タイムライン(自分の防災計画)の作成の手順などを学ぼうというもの。
新宮市は2011年9月の紀伊半島大水害を経験しているが、近年多発する自然災害などでの防災意識の高まりもあり、講習会には50人の市民らが参加した。
田岡実千年市長はあいさつの中で「なぜ個人の防災計画を考える必要があるのか。それは人によって家族構成や住所、職業、必需品などが異なり、一人一人やらなければならないことが違ってくるからです。この講習を機会に災害に対する備えの一助にしていただければ」と伝えた。
講師には流域治水アンバサダーで気象予報士・防災士、テレビなどで気象キャスターとして活躍している澤麻美さんを迎えた。澤さんは新宮市について、年間の降水量が3333ミリとなり、これは日本の平均降水量の2倍で大変雨が多い地域だと指摘。さらに近年の気候変動について、最近は雨の降り方も昔と変わってきており、毎年どこかで気象災害が起きて頻発化している。特別警報が当たり前のようになって慣れてしまっていると話した。
今年9月の奥能登豪雨を例に挙げて、台風や気象についてのメカニズムや、新宮市での過去の水害を解説した後、災害時には「自治体から発表される避難情報も避難のきっかけにしてほしいですが、自分でも状況を知ることが大切になります」とマイ・タイムラインの重要性を上げた。
実際にタイムライン作成に入ると、参加者は用意されたハザードマップを自宅と照らし合わせながら、皆真剣に取り組んでいた。災害時に持っていく物、避難の場所の確認や徒歩での時間、自宅避難の可否、ペットのことなどで一人一人に違いがでる。サポート役の国交省職員や新宮市職員らと一緒に、澤さんも各テーブルを回って参加者からの質問に丁寧に答えていた。
澤さんは「紀伊半島大水害の時に大丈夫だったからといって安心するのは禁物。避難場所までのルートが浸水する地域ではないかなどの確認など、実際に歩いてみることも必要」とし、最後には「今日作ってもらったマイ・タイムラインはどんどん新しくしてもらっていくことも大切。家の状況や河川の状況は毎年変わっていくと思います。今日作ったものが最後ではなく、半年に一回は家族と話し合い、一年に一回はタイムラインを新しく作ってほしい」と締めくくった。