紀北町は23日、東長島公民館で開かれたデジタルフェアで、行政へのデジタル技術の導入について発表し、窓口業務の能率化、デジタル決済の「美村PAY(びそんペイ)」などを説明した。さらに生成AI導入の連携協定を締結した。
紀北町はデジタル田園都市国家構想やフロントヤード改革モデルプロジェクトなどでデジタル技術の活用に取り組んでおり、最新のデジタル技術への理解を深めてもらおうと初めてフェアを開いた。
記念イベントとして、事業の発表と説明、連携調印式、トークセッションをフェアの2日目に開いた。尾上壽一町長は「高齢化が進んでいる地域でデジタル技術は日常生活をより便利にし、高齢者にも新しい形での社会参加を可能にし、我々の生活をより効率的に変えていく力を持つ。デジタル技術がもたらす可能性をともに探求し、未来をつないでいくために協力してほしい」と呼び掛けた。
所管する企画課から、具体的な事業に関し、フロントヤード改革モデルと美村ペイの2点について説明があった。
フロントヤードとは、住民と行政が接する窓口業務などのこと。紀北町では、転入出などの手続きをサポートする「申請ナビ」を年内に、マイナンバーカードを活用して住民票などの証明書が取得可能になる「らくらく証明窓口」を来年1月に導入する予定。
美村ペイは、紀北、多気、明和、度会、大台の5町共同のデジタル地域通貨で、ほかの4町では導入済。紀北町も熊野古道カードとの調整を続け、22日から開始した。美村ペイは現金決済も可能で、ついたポイントをデジタル通貨に替えられる。町内の6店舗で利用が可能で、さらに増やしたい考え。
また、この日は地方自治体向けの生成AIシステムを開発している株式会社Polimill(ポリミル、東京都港区)と協定を締結した。法令や町の計画などを学習させて紀北町に適応した生成AIをつくり、行政のサービス向上へ活用していく。
調印にあたり、尾上町長は「革新的な技術を積極的に取り入れることで、機動的で効果的な行政運営を実現していきたい。先進的な技術やノウハウと行政の知見を組み合わせ、新しい行政のあり方を追求することで、町民の暮らしの向上につながると確信している」と述べた。
出席したポリミルの伊藤あやめCOO(最高執行責任者)は「町民の皆様と触れ合う機会となり、中学生の元気な反応をもらえて、彼らが今後の社会をつくっていくのだと肌で感じた。私たちのサービスが町民の豊かな生活につながれば」と話した。