完全に満足する状態って、どんな状態だろうか。
時間がない、お金がない、あの人がこの人の悪口を言っていた、この人にこれだけのことをしたのに何も返してこない、もう少し身長が高ければ、顔が良ければ、頭が良ければ…。欲望を言えばきりがない。何かと自分を比べてもきりがない。ないものに固執してもきりがない。
「世界で一番貧しい大統領」として有名になったウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領は、貧乏とは少ししか持っていないことではなく「もっともっと欲しがること」だとしている。仏教でも「足るを知る」という教えがあるが、現状に満足すること、今あるものに感謝し、多くを望まないことが豊かさの秘訣のようだ。
これを聞いた時に、この考え方は、資本主義社会で言う「成長」と相反するものだと気づく。もっともっとお金を稼ぎ成長しようとしている会社で「現状で十分じゃないですか」なんて言ったら、やる気はないのかと叱られるだろう。
安易に共産主義を助長したいわけではないが、現代には、稼ぐことと満足すること、2つの豊かさが反発し合っているように思う。
【稜】