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不連続線「紙幣から時代を見る」

 新紙幣の流通が始まった。1万円札の「日本資本主義の父」渋沢栄一が説く道徳経済合一、事業における道徳と経済の両立は、今まさに志向されるべき理想といえる。
 
 戦後の1万円札で採用されたのは、知名度が高く、十七条憲法の制定や遣隋使の派遣など内政外交に数多くの功績を残した聖徳太子。戦前から採用されていたためGHQで議論もあったが、当時の日銀総裁が十七条憲法第一条の「和を以って貴しとなす」をもって、平和主義の代表として押し切った、という逸話もある。
 
 次の福澤諭吉は蘭学を学び、慶應義塾を創設。『西洋事情』『学問のすゝめ』『文明論之概略』などを書き、激動の明治時代を思想や学問で先導した人物といえる。
 
 時代が求める人物が紙幣に採用される。聖徳太子は政治機構の整備、福澤諭吉は学問と教育の充実、近代企業の創設と育成に尽くした渋沢栄一は経済発展の加速とみることもできる。
 
 経済促進や創業は過疎化が進む地方にこそ必要。誰か、尾鷲の渋沢栄一になろうとする人はいないか。
 
(R)

      7月 4日の記事

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