初夏の風物詩であるホタルが紀宝町などで見頃を迎えている。人間のために光ってくれているわけではないだろうが、暗闇にふわふわと無数の光が浮かびあがる様子は、私たちの目と心を楽しませてくれる。
光るキノコとして知られる「シイノトモシビタケ」も発生し始めているという。和歌山県では1995年の発見以降、紀伊半島の沿岸部を中心に広範囲に分布することが分かっている。これから夏場にかけて見られ、梅雨時や台風時期など、多いときには数百本群生することもある。夜の森で光る姿は妖精に例えられることもあり、20年ほど前に観察会に参加した際には、あちこちで見られる青みがかった緑色の光にとても感動した。
もしもホタルと光るキノコが同じエリアに発生したら、どんなに幻想的な光景になるだろう。ホタルは川辺に生息するイメージが強いが、森や林の湿った場所を好む種類もいる。どちらも絶滅が心配されている貴重な生物と植物。もしかしたら、どこか人知れず共演し、夏の森のイルミネーションを開催しているかもしれない。
【織】