長崎県対馬市の核ごみの最終処分場選定に向けた文献調査について、市長が受け入れ拒否を表明した。調査の受け入れを求める請願を議会が採択したが、市民の合意形成が十分でないこと、主要産業の観光業と水産業への風評被害が懸念されることなどを理由として述べている。
最終処分場の候補地となり得る地域を示した科学特性マップを見ると、海沿いが「輸送面から適した地域」となる。今後の選定の議論の中で、漁業への影響と対策が大きな論点の一つとなるのではないか、と。
ニュースでは、核のごみの処理を交付金や活性化を餌に過疎化する地域に押し付ける構図が分断を招いたと批判する意見を見る。その通りだとは思うが、その正しさがまちを救うわけでもない。「地域の疲弊」の一言を書くペンに、どれだけの実感がこめられているのか、と思う。分断の源は、どちらも地域を思う心である。子どもは減り続け、若者の流出は止まらず、商店や事業所が消えていく中で、どうすればまちの未来がよくなるか、答えが見えない。
(R)