尾鷲市は来年、市制70周年を迎える。人口はピークから半減、高齢化と過疎化が一層進む厳しい状況だが、今後の安定に向けた種も見えてきている。政策的には、自然を中心とした資源を生かしつつ、持続可能なまちにしていくことが求められる。
合併をしなかったことで、財政的に厳しい状況に置かれているが、単独で進んだからこそ迎えられる70周年ともいえる。合併した自治体の多くの財政状況はこれから厳しくなっていく。合併したら楽だった、と言えるものではない。
ところで70周年事業は何を行うのだろうか。港まつりや海・山・ツーデーウオーク、尾鷲節コンクールなどに、いわゆる冠をつけて規模をやや拡大するのはもとより、市民の関心を引くような記念行事が必要だろう。冠行事だけで、市民の印象にも残らないのは残念。9月議会も終わり、来年度に向けて予算編成を進める時期に入る。市職員だけで検討するのではなく、市民からアイデアを募ってはどうか。
多くの市民が参加し楽しめること、併せて市のアピールにつながるような事業ができればよい。テレビやラジオ番組の誘致は定番といえるが、効果は大きい。夏前に、有名タレントの「信長」が大いに話題になったが、知名度向上と観光客を呼び込む効果があった。もちろん、そのために1回限りのイベントをせよということではない。また、1つだけのイベントに限る必要もない。予算の枠を決めていくつかの事業に取り組んでもよい。
財政が厳しい中ではあるが、今年、来年ならふるさと納税を積み立てた基金で対応可能だろう。経費は安く効果は大きな事業が提案されるかもしれない。職員や各種団体の役員では思いつかない案が出てくる可能性もある。何にせよ、市民が関われること自体が重要。市民の意見を聞くのがその第一歩だ。