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不連続線「トイレと主権者教育」

 生徒たちの署名運動に背中を押された形で、尾鷲中学校の教室棟のトイレが洋式化された。供用開始に合わせてオープニングセレモニーが行われたが、くす玉やクラッカーを用意したのは教職員で「生徒たちの声によって学校を変えることができたことを実感してほしい」という思いがあった。

 若者の選挙離れが叫ばれて久しいが、衆議院選挙の年代別投票率を見ると、もともと20代は他の世代と比べて低く、平成8年以降は35%前後で下げ止まっている。興味深いのは全体投票率が同程度の43回(平成15年)と46回(平成24年)の同一層である年代をそれぞれ比較すると、投票率は10%前後上昇しており、「年をとると選挙に行くようになる」という仮説が成り立つ。そもそも若者たちは政治に無関心というより、選挙によって社会を変えられる実感に乏しいだけなのではないか。

 今回の尾鷲中の生徒は「一定の社会的目標のために行われる集団行為」である社会運動に率先して取り組み、見事に成果を上げたといえる。こういった「世界は自分たちの手で話し合いを通じて変えていける」という実感の積み重ねこそ、主権者教育の理想形ではないか。

(R)

      11月11日の記事

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