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紀南抄「花の美しさに翻弄される」

 秋が深まり、空き地や川原の土手などにはセイタカアワダチソウが咲き乱れている。少し前まではヒガンバナの赤が目を引いていたのに、今やわが世の春かのごとくすさまじい勢いで黄色い花が一面を覆っている。
 
 北アメリカ原産の外来種で、花粉アレルギーの原因となるブタクサに似ていることから、目の敵にされているイメージがあるが、虫によって受粉する虫媒花で、風で花粉が飛んで受粉する風媒花ではない。花粉も重く、比較的飛びにくいため、花粉症とは無関係だといわれている。
 
 花はハーブに利用され、つぼみは入浴剤にも加工できるという。これだけたくさん咲いているのだから、有効活用が広がればと思う。
 
 わが家で唯一花壇に大切に植えているモモイロヒルザキツキミソウは、初夏から晩夏にかけてピンク色のかわいい花を咲かせてくれる。それが数年に1度ぐらい、11月ぐらいまで咲いていることがある。気候の関係なのかはよく分からないが、今年もまだちらほら花を開いている。植物はきれいに咲くことで虫の注目を集め、また人間にも保護されることで、密かに種の保存を計っているのかもしれない。
 
【織】

      10月20日の記事

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