生後間もないと思われる子ネコ2匹が身を寄せ合っているのを見つけた。目ヤニで目がやられそうになっている。
近寄ると、1匹が先に逃げ、もう1匹はまっすぐに見つめてきて「ミャー、ミャー」としきりに鳴く。さらに近づくとその1匹も茂みに隠れた。といっても、まだ隠れ方も分からないのか2匹とも丸見えである。それ以上興味本位で近づいて怖がらせてもかわいそうなので、そっとその場を離れた。
餌は十分に食べているだろうか。目は苦しくないだろうか。ネコが好きなので、世話を焼きたい気持ちに駆られる。しかし、一度手を出すなら最後まで面倒を見なければならない。中途半端におせっかいを焼いてその子たちが自分で生活できなくなっては、自己満足の加害者になる。命に触れるということはそういうことだ。
全国では過去、餌やりに伴う排泄物などの環境被害の民事裁判で、責任を果たしていなかった人が高額の損害賠償を支払わなければならなくなった判例がある。餌をやれば、繁殖して周囲に被害をもたらす可能性もある。
小さく美しいまなざしを前に、私もまた小さかった。
【稜】