新宮商工会議所は6日、新宮市井の沢の新宮ユーアイホテルで、令和7年新春年賀会を開催した。物価高騰や人口減少などで地域経済を取り巻く情勢は厳しさを増す中にも、会員事業所の継続的な発展に向けた経営支援にあたるとともに、地域経済の浮上に行政はじめ関係機関と一体となって取り組みを進めることを確認した。
関康之会頭はあいさつで、昨年12月7日に熊野川河口大橋を含む「新宮紀宝道路」が開通し、紀伊半島一周高速道路の完成に向けて順調に進んでいるとし、「昨年も多くの自然災害が日本列島を襲った。本高速道路は当地域にとって大規模災害時の命の道として必要不可欠な道路であり、また経済面においても観光業や地域産業の振興に大きな役割を果たすもの。引き続き、各関係機関へ要望を行っていく」と述べた。
「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年によりインバウンド(訪日外国人客)を含めた観光客の増加や、民間ロケット「カイロス」の打ち上げの盛り上がりなど明るい話題の一方で、人口減少や少子高齢化による消費の縮小や、慢性的な人手不足、長引く原材料費の高騰など、事業者は引き続き厳しい経営環境におかれていることを挙げ、これからの事業経営には、売り上げを確保するための販路拡大、利益率向上と減少する労働人口に対応するための生産性の向上、災害に備えるための事業継続力の強化など取り組むべき課題が山積しているとした。その上で、会議所として、各事業所の経営状況に合わせた支援に取り組む考えを伝えた。
このほか、後継者問題や中心市街地・地場産業の活性化、JRきのくに線利用促進など取り組むべき課題は多く複雑化しているが、今後も「会員のための」また「地域のためになる」商工会議所として、地域経済の発展に取り組んでいくとした。
来賓からは田岡実千年市長が、観光客数がコロナ禍前の過去最高の水準に戻りつつあることを紹介しながら、「今後、観光産業を重要産業として位置付ける可能性を感じる一年だった。行政と民間が同じ方向を向いて頑張れば、地域経済の発展につながる。スピード感を持って取り組みたい」と意気込みを示した。三栗章史市議会議長、濱口太史県議会議員もお祝いの言葉を述べた。
来賓紹介と祝電披露に続き、関会頭、田岡市長、三栗市議会議長、濱口県議会議員の4人で鏡開きを行い、同会議所の夏山晃一顧問の発声で乾杯し祝宴に移った。