新宮市の熊野速玉大社で10月31日、新年の干支(えと)「乙巳(きのとみ)」の大絵馬が完成した。神の使いである白ヘビを描いた大絵馬の上部に、上野顯宮司が「豊穣彌榮(ほうじょういやさか)」と書き加え、見事に仕上がった。11月30日(土)に拝殿へ掛け替える。
稲穂をくわえた夫婦の白ヘビとその子どもたちの計4匹がほがらかな表情をたたえ、初日の出を表した日輪に向けて、喜びの祈りを捧(ささ)げている。ヘビには金運上昇や物事が豊かになること、強い生命力などのイメージを投影し、体にはふくよかさを持たせた。
中央には「尊いもの」「大切なもの」を意味する宝珠とご神木の梛(なぎ)の木、金のご幣が描かれた。梛の木には「実を結ぶように」と、葉だけでなく実も描いた。
「豊穣彌榮」のうち、五穀が豊かに実ることを指す「豊穣」は目に見える豊かさを、より一層栄えることを意味する「彌榮」は心の豊かさなど目に見えない豊かさを表した。
「今年はかわいいものを描こうと思った」と上野宮司。「さし上る太陽に年神(としがみ)が現れて祈るというおめでたい絵。家族そろって初日を拝みながら1年の誓いを立て、仲むつまじくほのぼのとした様子から、五穀豊穣や世界平和が弥栄(いやさか)増しますように。豊かな一年にしたいですね」と話した。
5月ごろから構想を練り始め、6月に制作を開始。絵は7月から8月にかけてほとんどを描き終え、この日に完成となった。
ヒノキ製の大絵馬にアクリル絵の具で制作。縦約1.5メートル、横2.1メートルの大きさ。また、新宮駅に寄贈する縦約0.7センチ、横約1.1メートルの絵馬も完成している。
大絵馬と同じ図柄の色紙は12月から社頭で授与を始めるという。