那智勝浦町那智山の熊野那智大社は27日、新年に向けて、同大社のご神体「那智の滝」の銚子口のしめ縄を張り替えた。白装束を身にまとい烏帽子をかぶった神職らが「御滝注連縄張替式(おたきしめなわはりかえしき)」を斎行(さいこう)し、慎重に縄の張り替え作業を進めた。
張替式に先立ち、奉仕者の神職ら5人は白装束に身を包み、修祓を受け、神前に張り替えを奉告した。その後、参道約2キロを30分ほど行った先にある銚子口へ出向。銚子口手前で神事を行い、張り替えに臨んだ。
しめ縄は長さおよそ26メートル。重さ4キロほどのさらし木綿をより合わせて作られ、そこに真っ白のさらしの紙垂(しで)4本を等間隔に結び付ける。命綱で安全を確保しながら、草鞋(わらじ)越しに足元を確かめつつ、丁寧に作業した。張り替え後は笏(しゃく)を取り出し、滝口に向かって掲げ、深くお辞儀をした。
作業を終え、小賀真樹禰宜(ねぎ)は「正月準備も大詰めを迎えている。今年は年明け早々能登の地震から大変なことが起きたが、来年は(関西大阪)万博もあるので、皆さんにとって明るい、いい年になりますようにと祈念して、新しい気持ちでしめ縄を張り替えた」と話した。
なお、同大社はこの日、張替式の前に煤(すす)払い式などで新年への準備を進めた。前日には大鳥居や手水舎、その他の張り替えも行った。
那智山では大晦日(おおみそか)の夕方から元日にかけて、那智の滝と青岸渡寺の三重塔がライトアップされ、県内外からの参拝客を迎える。