尾鷲市地方創生会議が23日、市役所であり、委員らが、各課の説明を受けながら「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を検証し、意見を述べた。
総合戦略は、人口減少の抑制を主な目標とした計画で、令和4年度から8年度までを2期計画期間としている。基本目標は
- 稼ぐまちをつくるとともに、安心して働けるようにする
- つながりを築き、新しい人の流れをつくる
- 結婚・出産・子育ての希望をかなえる
- ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的なまちをつくる
—で41の取り組みを進めている。各取り組みは、効果を客観的に検証できるよう重要業績指標(KPI)を設定しており、委員8人のうち5人が出席し、各課長や担当職員から取り組み内容と現状の数値を聞き意見を述べた。
座長で(株)三重ティーエルオーの松井純さんは、尾鷲市の奨学金利用者が少ないことに言及しつつ、都市部の病院などから一定期間の勤務を条件に奨学金を受けて勤務しても都会に合わない人もいることから「償還を肩代わりする仕組みはつくれないか」と提案。浜宏之尾鷲総合病院総務課長は、薬剤師向けに制度があると説明。松井座長は、看護師などほかの医療職にも対応し「市が2分の1でも3分の1でも支援できないか」などと述べた。
尾鷲高校のまちいくの取り組みにも指標が設定されている。三鬼望政策調整課長は、学習指導要領の改訂や学校の希望も踏まえて新しい在り方を検討したいと説明。「地域の現状を知り、自分の力で貢献したいと思ってもらえるようにしたい」と今後の方針を説明した。
観光分野に関しては、イベントの時に宿泊施設が満室で泊まれるところがないケースがあること、観光客が泊まりたいと思える施設が少ないとの指摘があった。松井座長は「おいしいお店、いい場所が多い。観光プロモーションを」と呼び掛けた。濵田一多朗商工観光課長は「長期滞在メニューがしっかりしていない」と弱点を認めつつ、特に欧米豪からの外国人に、尾鷲ならではの体験メニューを提供できるように取り組んでいることを報告した。
夢古道おわせの入り込み客数は令和5年実績が6万6000人で、8年度の目標が13万4000人となっている。観光入り込み客は実績で44万人と報告があり「観光客はどこに行っている」との疑問が出された。濵田課長は44万人の算出に使っている場所やイベントを説明。同じ人が計上されているケースが多くあるとの認識を示した。
全国の動向と同様、尾鷲市でもここ数年、出生数が大きく落ち込んでいる。委員からは「一人目からの支援を具体的に住民に知ってもらうことが大切。産前から支援することも必要」「3人目を産める環境であるという情報を共有できることが必要」などの意見があった。世古基次福祉保健課子ども子育て担当参事は、子育て中の家庭の約1割に3人以上の子どもがいるとする一方で、「将来の教育費が不安」という声もあることを報告した。また、保育所の待機児童がゼロである一方、共働き世帯でも収入面に不安があると述べた。松井座長は「子育て世帯の人をメンバーに入れて、具体的に必要な支援を政策に入れていく必要がある」と助言した。