紀北町中里の海山郷土資料館で、企画展「たかが石、されど石、『続・紀北町の石』展」が開かれている。6月13日(日)まで。
赤羽川の支流である大野内川の工事現場の石灰岩から昨年12月、ウミユリの化石が見つかったことから企画した。重さ数百キロの石灰岩のほか、水晶や盆石などさまざまな種類の岩石や、石にまつわる産業や地質の成り立ちなどをまとめた資料など約100点を展示している。石にまつわる展示は平成27年8月以来。
ウミユリは体長30~50センチで、ヒトデやウニなどの仲間。約2億年前の地層に化石がよく見られる。
玄関脇には、約2億年前のものとみられる化石が入った黒色石灰岩5個が並んでいる。館内にはウミユリの化石が含まれている石灰岩やウミユリの標本とともに、大陸移動による地質の形成や紀伊長島の地質の特徴について解説している。
また、明治初期に和歌山藩主導で製造された磁器である小山焼、往古川上流の狸谷で採掘されていた硅石、上里の利市鉱山から採集された輝安鉱など、町内で活用されていたさまざまな鉱石や産業についても説明。
往古川上流の湯谷で採集した、先がふくらんでキノコのような形となった松茸水晶や、突起が集まる水晶の塊、火打ち鉄と火打ち石のセット、縄文時代の石の道具なども展示。石置き屋根や石垣、石畳、みそをつける重石など、身の回りにある石を写真で紹介している。
家崎彰主事は「石には人を魅了する力があり、その来歴をたどれば日本列島や地球の成り立ちにもつながる。町の歴史を雄弁に語る石をぜひ見に来てほしい」と呼び掛けている。
開館時間は午前9時から午後4時30分まで。毎週月曜日と祝日は休館。