観光施設における心のバリアフリー研修会が18日、紀北町相賀の海山公民館であり、地域の観光関係者約20人が、障害者、高齢者や外国人などさまざまな人に配慮した観光施設や地域のあり方について理解を深めた。
県観光振興課がNPO法人伊勢志摩バリアフリーセンターに委託して取り組んでいる。東紀州地域では、個別の施設で研修会を実施したことはあるが、観光業者らが広く参加して行うのは初めて。
最初に、観光庁が令和2年12月に創設した「観光施設における心のバリアフリー認定制度」について説明があった後、具体的事例を踏まえた接遇研修を行った。
同センターの中村千枝シニアマネジャーが視覚、聴覚に障害のある人への対応や、オストメイトを装着している人、LGBTQといった性的少数者に対する配慮の要点を解説した。
視覚障害者については、案内(手引き)の仕方などを説明。いきなり手を引いたりせず、あいさつして手引きをすることを伝えてから、白杖や盲導犬の反対側に立って手につかまってもらうこと。「本人のつかまりやすい位置があるので、そのようにつかまってもらって」と助言した。災害時も「周りの状況を説明することが大切」と指導があった。
盲導犬や介助犬と一緒に入れる店で、近くの席の人にアレルギーがある事例についても説明。「普段の接客と同じで、後で来た人を別の場所に案内すること」と話した。
聴覚障害者への対応では、手話ができる人は(聞こえない人の)概ね15%と紹介した上で、「筆談時には下だけを見てしまいがち。アイコンタクトをしっかり」とアドバイス。また、口の動きを読んでもらう「口話」では、正面に立ってゆっくり話す必要があるが「一語ずつ区切らないで」と注意を呼び掛けた。
また、オストメイトを装着している人など、外見では困っていることが分からない人がいること。LGBTQの人など、車椅子でなくても男女別のトイレが使いにくく多目的トイレを必要としている人がいることも紹介した。
この後、車椅子の取り扱いについて実技指導があり、多目的トイレも見学した。