新宮市内の一部地域で21日午後に発生した停電。気温35度を超える昼下がりで、エアコンが急に停止したことを不思議に思った住民らが家の外に出て、近所同士で確認し合っていた。関西電力送配電によると、施設の不具合が原因といい、1時間程度で復旧したが、長引けば熱中症の心配もあった。
環境省は熱中症予防の一環として、各自治体に指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)を指定することを推奨。「熱中症特別警戒アラート」の発表によって各施設が開放され、用が無くても屋内に避難できる。新宮市は公共施設や各郵便局、大型商業施設など約30施設を指定。一方、12施設を指定する那智勝浦町は、熱中症特別警戒アラートの発表に関わらず、外出中に暑さで気分がすぐれない、少し涼みたい場合などに利用できる。暑さの感じ方や体調には個人差があり、新宮市もせめて公共施設は、那智勝浦町のように基準なしに利用できるようすべきではないか。それ以前に、クーリングシェルターの存在をどれだけの市民が知っているだろうか。ホームページだけの周知で行き届かせるのは難しい。
今回の停電時に機転を利かせて、広報車両を走らせて案内はできなかったか。防災行政無線は人命に関する用途以外での使用は難しいとするが、災害級の暑さから命を守る行動という点で問題ないはず。停電が長引くようであれば、通電している公共施設を“避難所”として開放し、市民を受け入れることも必要になる。また、熱中症予防として今夏、市役所本庁舎と別館に設置したウオーターサーバーの利用が好調なら、行政局や支所など他の公共施設への設置も進めてはどうか。
総務省消防庁によると、今月13~19日の1週間に熱中症で救急搬送された人数が全国で1万857人(速報値)。1週間の搬送者数が1万人を超えるのは今年初めて。死者は14人、重症者は321人だった。和歌山県内では5月1日から7月12日までの間、152人が熱中症で救急搬送。新宮消防の管内では今年に入り12人を搬送している。各地で最高気温が35度を超える「猛暑日」が相次ぎ、今年新たに設けられた「酷暑日」(最高気温40度以上)を記録する地点も見られる。気象庁の予報によると、今後も全国的に平年よりも気温が高くなる見込みという。熱中症予防には、涼しい環境で過ごし、水分を積極的に取ることが求められるが、高齢者は暑さを感じにくいため対応が遅れがち。新宮市は高齢化が進み、単身の高齢者も多いという特性をもっと市当局が認識し、柔軟な対応に努めてほしい。
